やあ、おれはクイッカマン。よいこのみんな、いつも応援してくれてありがとう。今日はキミだけにおれの秘密を教えよう。

-- これまでのお話 --

　ある日、秋葉原で祖父マップと名乗る不思議な老人から、QuickCamという妙な形のデジタルカメラを買った。しばらくPowerBookのシリアルポートに接続して使っていたが、ちょっとしたいたずら心で、愛用のNewton MassagePad120に接続してみた。するとMassagePadが激しく光を発し始めたではないか。これはやばい。スケジュールやアドレスといったものはすべてMassagePadに入っているので、壊れてもらっては困るのだ。光が収まったとき、おれはおそるそるスタイラスペンで落書きをしてみた。
「か、からだが痛い！」
　そう思った瞬間、おれは自分がMessagePadに描いた「クイッカマン」に変身していた。そう、MessagePadは書いたものを実体化する能力を持ってしまったのだ。まるでウィングマンのドリムノートみたい。はっははははははは。
　おれは地球の平和を守るため、このクイッカパワーを使うと誓った。

　それが1995年のことだ。現在はMassagePad120→Palm/Plot(III仕様)、Duo230→PB2400とパワーアップを果たしている。ヒーローの武器がおもちゃメーカーの年末商戦などで、変わるのは良くある話だ。

　クイッカマンとなったおれの前には、悪の秘密結社Neo-Sea-Horseから送り込まれる奇怪人が次々と立ちはだかった。
　宅配奇怪人ペリカンブレイ、厚顔奇怪人アツゲショラ、中華奇怪人ブタマンモス、改札奇怪人エキインブレイ、音漏れ奇怪人シャカ釈迦、ぞんざい奇怪人エラソバル、香港A型奇怪人インフル、香港B型奇怪人エンザと次々現れる悪の奇怪人を打ち負かし、千葉県、神奈川県、東京都、宮崎県の平和を守った。
　あるとき、つかの間の安息を求めて訪れた東京ディズニーランドでも、場所取り奇怪人シキモノモンガーが容赦無く襲いかかってきた。シキモノモンガーのカマイタチカッターでクイッカスーツを切り刻まれ苦戦したが、突如現れた謎のコスプレ美少女クイックちゃんの機転で、危ういところを逆転した。

　それから何度かクイックちゃんにはピンチを救われた。彼女はクイッカマン風のピンクのパワードスーツを身に着けているが、それは彼女お手製の衣装で、単なるコスプレなのである。戦いに加わったらひとたまりもない。しかし、彼女は彼女らしいアイディアでクイッカマンに協力してくれるのだ。

　ある日、おれはNeo-Sea-Horseの四天王魔導師うっちーと、彼らの本拠地である新小岩で会見を果たし、彼らが敵対する「邪悪」という存在を知った。シキモノモンガーはその先兵であった。
　その後も敵の攻撃の手は弱まることなく、Neo-Sea-Horse、「邪悪」からの奇怪人が、地球の平和を脅かした。おれは消費税奇怪人パーセントファイブ、ツバキ奇怪人エクショウ、台風9号奇怪人ドスエ、台風10号奇怪人ボーフーウー三兄弟、無節操携帯奇怪人コワダカバーン、足組奇怪人クミクラスを苦戦の末、地獄へ送った。

　長く続く戦いの中で、おれの体力、精神力には限界が来ていた。そんなとき「邪悪」は、クイッカマンの弱点を研究し恐るべき奇怪人を生み出していた。それが二重駐車奇怪人クルマニヨンである。おれはクルマニヨンのくさい息光線、タバコ煙光線、ポマードにおい光線、大声携帯電話光線の前に、クイックちゃんの声援もむなしく、力尽き、ついに倒れてしまった。
　薄れ行く意識の中に立った黒いクイッカマン(クイッカマンVC)から、クイッカマン強化ギア「クイッカエアプロ長野オリンピック限定モデル」を渡された。クイッカエアプロを装着したおれは「正義は絶対負けない」という信念(思い込み)が増幅されるのを感じた。その思いが頂点に達したとき、クイッカマンフラッシュへと二段変身していたのである。そしてクイッカエアプロをクイッカロングソード＋１に変化させ、クルマニヨンを打ち破った。まるで帰ってきたウルトラマンのウルトラブレスレッドみたい。はっははははははは。しかし元に戻ったおれの手にはクイッカエアプロは無く、クイックちゃんは黒いクイッカマンは見ていないと言う。

　その後、強欲奇怪人フリージア、バリュー奇怪人ドナルダー、神戸奇怪人ランプティダンプティらを倒し、1999年4月、サイト名を「超常会社員クイッカマン」から「ドリーム・オン！　クイッカマン」に変え、心機一転スタートすることにした。これからはクイッカマンの活躍はもちろん、クイックちゃんや祖父マップといった登場人物の謎も明らかになっていくはずだ。

　おっと、ちょっとしゃべりすぎたかな。このことはパパやママにも内緒だぜ。これからも今まで以上にクイッカマンのことを応援してくれよな。