Quickca Fight Aug 9, 1997
クルーニ・バットマン、イカス
-->チケット余り奇怪人セザール
-->台風10号奇怪人ボーフーウー三兄弟登場

リオンでBatman & Robinを見る。
 チケット売場でチケット余り奇怪人セザールに前売り券を売ってもらった。2人で400円の得。
 映画はちょっとだけ混んでいた。でも思ったほどではなかった。セザールは「もののけ姫」や「ロストワールド」のおこぼれ映画と言っていた。人はどう思ったかわからないがおれはヒーロー心をくすぐられた。今までのBatmanの中で一番お気に入りだ。

 チケット余り奇怪人セザールというのはダフ屋ではなく、こういうところに時々出現する「買った券が余ってしまったが捨てるぐらいなら他人にあげようという人」だ。初めて出会ったのは大学生のとき。横浜探偵倶楽部のメンバーで.としまえんに行ったときである。このときは帰りぎわのセザールから余った乗り物券を数枚もらった。悪い奇怪人ではない。例えるならモグラ獣人のようなヤツだ。

 映画を見てから外に出ると浴衣姿の男女を何人も見かけた。そういえば今日は東京湾花火大会だった。しかし彼らの表情は暗い。口々に「中止だって」とか「全面中止にすることないじゃん」と言っているのだ。どうやら「今日の東京湾花火大会は中止」という噂が流れているようだ。
 少し歩いていたら噂の源がわかった。3人の小太りな男がウソの噂を振れまわっていたのだ。花火大会を妨害するようなやつはゆるせん。花火が中止になったら、どれだけの人ががっかりすると思っているのだ。
「チェーンジ、クイッカマン。セットアップ!」
 3人は一斉におれのほうを見た。
「よくきたな、クイッカマン。おれたちは台風10号奇怪人ボーフーウー三兄弟だ」
 リーダーらしき男がおれに向かって言った。
「おれは長男のボー、ボーボーボーの怒りんぼう」
「そしておれは次男のフー、フーフーフーのクタビレ屋」
「ぼくは三男のウー、ウーウーウーのがんばりや。3人揃って」
「ボー」
「フー」
「ウー」
 豚のような姿になった3人で決めのポーズを取る。むむむ、敵ながらかっこいい。
 おれはジョージクルーニのような、はにかんだ笑顔をし(たような気になっ)て、軽く前方宙返りをし、両足のかかとでフーとウーを蹴倒した。着地後すぐに後方に飛びサマーソルトでボーを宙に浮かせた。さっきの映画でロビンがやっていた技だ。最後のサマーソルトは旋風蹴りと同じなのでおれの得意とするところである。
「ボーフーウー、みんなが楽しみに見に来ているのに、ウソで帰らせようとするのはいけないぞ」
「ふん、ウソじゃ無いぞ。これから本当に中止になるのだ」
 ボーは空に向かって叫んだ。
「準備は良いよ、ねえさん!」
「ねえさん?」
 急に強い風が吹きはじめた。
「おほほほほほほほほほ、クイッカマンはん、久しぶりどす」
「その声はドスエ!」
 ウソの情報を宮崎県に流して、おれを出張先から帰れなくした台風9号奇怪人ドスエだ。
「弟たち、計画は完璧に成功しましたえ。花火大会の中止は決定どす。戻っておいでやす」
「はい、ねえさん」
 ボーフーウーはそのまま韓国方面に進路を変え、熱帯低気圧になった。
 JR、営団地下鉄構内には一斉に花火大会中止のビラが貼られた