Quickca Fight Feb 24, 1997
1年ぶりのTDL(その2)-->場所取り奇怪人シキモノモンガー登場

て、月曜日。今日はイントラネットの仕事で概要設計書を外注に出す日だ。画面のデザインはおれが作ったHTMLソースを直接渡す。と、いうことを書いても全くもってつまらないので、昨日の続きだ。
(これまでのお話)
 ディズニーランドのアトラクション「フィール・ザ・マジック」を見るために並んでいる列へ割り込む若い男女の集団がいた。キャストに注意されて列の最後尾についたが、そこでタバコを吸いはじめた。

 タバコの煙はいったん吸って吐き出されるものより、火のついたタバコから細くたなびいてくるものの方がつらい。小さな女の子がタバコの煙にむせて咳をした瞬間、持っていたミッキー風船が手からするりと放れた。
「あっ」
 ブチッ! クイッカ堪忍袋の緒が切れた。

「とぉ」
 おれは風船めがけて大ジャンプし、空中で変身ポーズを取る。
「チェーンジ、クイッカマン、セット・アップ!」
 空中で風船をキャッチし、そのままスター・ツアーズの建物の上に立った。
「有害な煙をまき散らすだけでは飽きたらず、空中で灰を落とし、吸いがらを足下に捨てる悪行三昧。ルールを守れないやつらはディズニーランドに来る資格はない。クイッカマンが成敗してやる」
 おれはクイッカ成敗のポーズを取った。
「シャキーン!」
 効果音はないので口で言う。

「とぉ!」
 割り込みタバコ男のそばに着地し、女の子にミッキー風船を渡した。男はタバコの煙を深く吸い込み両手両足を大きく開いた。
「モンガー!」
 男はそう叫ぶと、ムササビ型怪人に変身した。手と足の間にある膜のようなものは行楽用の敷物でできているようだ。
「出たな、クイッカマン! おれは場所取り奇怪人シキモノモンガーだ」
 声を出しながら煙くさい息を吐く。
「貴様、Neo-Sea-Horseの奇怪人じゃないな! Neo-Sea-Horseは禁煙のはずだぞ」
「ふははは、あんな弱小悪の秘密結社は辞めてやったわ。魔導師うっちーがタバコ嫌いでな。体に悪いからと、タバコを取り上げておれを追放しやがったんだ。だが、おれは自由になった。やつらが『邪悪』と呼んでいる力を手に入れてな。」
 おれはすかさずクイッカPPPからのコンボ体勢を取った。しかし、シキモノモンガーと一緒にいた男たちも、黒服の戦闘員姿になりわらわらと攻撃をしかけてきたため、はじめのPPを空振りしただけでコンボは完成しなかった。
「邪悪!」
 うっちーと小岩で会見したときもその言葉を聞いた。うっちーは「悪」と「邪悪」は敵対すると言う。
 体に悪いとわかっているものを売る。これも1つの「邪悪」か?

 シキモノモンガーは垂直に跳躍した。
「モンガー!」
 そのまま、パン・ギャラクティック・ピザポート、スターツアーズ、スペースマウンテンの屋根へと次々と滑空した。
 シキモノモンガーは敷物の膜をピンと張り、鋭い刃物のようにして切りつけてくる。おれは肩のプロテクター部分でやつの攻撃を受け止めたが、簡単に切られてしまった。同じ場所で2度は受け止められない。
 戦闘員たちの攻撃も執拗だ。地上に気を取られるとシキモノモンガーに切り裂かれてしまう。くそぅ。

「クイッカマン、がんばって」
 なんと、そこにはクイックちゃんがピンクのクイッカスーツを着て立っていた。
「超常美少女クイックちゃん、可憐に日記初登場! 私も力になるわ!」
 なぜかクイッカマンを慕うコスプレ美少女だ。周囲にハートマークが飛びそうな登場の仕方をする。クイックちゃんの詳細はまた追って話そう。
「ま、待って。キミのパワードスーツはただのコスプレじゃないか。攻撃を防ぐことはできないぞ」
 そのとき派手なブラスセクションが鳴った。側にいたトゥモローランド・ブラスをクイックちゃんが連れてきてくれたのだ。
「私には私の協力の仕方があるのよ。 トゥモローランド・ブラスのおじさんたち、じゃんじゃんやってちょうだい!」
 トゥモローランド・ブラスは渡辺宙明アレンジな燃え燃え演奏を始めた。ディズニーランドは一転して後楽園遊園地状態になった。ぐぉおおお、力がわいてきた!

「これで最後だ、クイッカマン。モンガー・カマイタチアタック!」
 シキモノモンガーはおれに向かって一直線に滑空してくる。すかさず、↑P+G。空中のシキモノモンガーに向かってジャンプした。
「なんの、クイッカイズナ落としっ!」
 シキモノモンガーを空中で受け止め、そのまま頭から地面へ叩き落とす。
「ぐあぁぁぁぁ!」
「クイッカCCDフラァーーーッシュ!」
 ダウンしているシキモノモンガーに追い打ちのクイッカCCDフラッシュを浴びせた。
「うううっ、ディ、ディズニーランドは、ビーチサンダル…、履きでは入場を断られ…ることもあるから、気を付け…ろ…よ…」
 ちゅどーん。シキモノモンガーは大爆発を起こした。
 見ると戦闘員は七人の小人たちに袋にされていた。これはほっといても大丈夫だろう。

 クイックちゃんがおれの方に走り寄ってきた。
「クイッカマン、手強い敵だったね」
「ああ」
「敵もやっつけちゃったし、今日はここでデートしようよ」
「ああ…」
 そのときおれはシキモノモンガーにやられたクイッカプロテクターの切り口を見ながら、クイッカスーツをパワーアップについて思案していた。