Quickca Fight Jun 1, 1998
らんぷ亭の新メニュー「豆腐牛皿定食」-->神戸奇怪人ランプティダンプティ登場

 昼に会社の近くにある「らんぷ亭」に行った。そう、らんぷ亭の奇怪人と戦うためだ。
 新メニューの「豆腐牛皿定食」650円ができていた。「レタスの上に冷奴を置き、その上におろしポン酢をかけたもの+牛皿+味噌汁+ご飯」だ。
 見ると「おろし牛皿定食」600円のおろし牛皿が単品化されて350円という値段が付いていた。「おろし牛皿定食」は「おろし牛皿+味噌汁+浅漬け+ご飯」の組み合わせなので単品で頼むと
350 + 60 + 80 + 150 = 640(円)
 となる。単品で頼むと損をしてしまう。しかし以前に述べた「どれでもサービス券」を使うと、
350 + 20 + 40 + 150 = 580(円)
 となり、セットで頼むよりも安くなるのだ。

 おれはそのことを店員の女の子に聞いてみた。
「少しお待ちください」
 女の子は厨房にいるリーダーらしき男を呼んだ。

「実はあなたに言われるまで気がつきませんでした。正直言って、忙しいときにそのような注文をされると困りますが、単品で頼んでサービス券を使ってはいけないという決まりはありません。よく見抜いたな。さすがはクイッカマン! おれは神戸奇怪人ランプティダンプディだ」
 男はみるみるうちに卵のような体に変形した。
「やはりNeo-Sea-Horseの奇怪人だったか。チェーンジ、クイッカマン。セットアーップ!」
 おれもクイッカマンに変身した。
 店員の女の子が割って入った。
「待って。単品で注文されても、私が値段を計算するときにぱっと見ると、定食になってしまうわ」
 なるほど、単品で注文しても定食の一式が揃うと、それは定食として扱われるということか。
「いや、それは違う」
 今度はランプティだ。
「定食はお盆にのせてお出しするのだ。テーブルの上にお盆が無い限り単品として計算しなければならない」
 ランプティダンプディは苦しそうだ。
「だったら、注文を受けたときに定食としてお盆にのせてお出しすればいいじゃないですか!」
 店員の女の子が、今にも泣きそうな声で言った。ランプティの顔がゆがみ、卵の殻にひびが入ってきた。
「だ、ダメだ。お客さまが単品とおっしゃった以上はそれは単品なんだ…」
「リーダー!」
 女の子が悲鳴を上げた。
「クイッカマン、私の負けだ。好きなだけ単品で頼んでくれ」
 ランプティは自分の負けを認め、いたずらに単品メニューを増やされることが、現場の混乱につながっていることを告白した。
「わかってくれれば、いいんだ、ランプティ。今日は新メニューの豆腐牛皿定食をもらうよ」

 おれは「どれでもサービス券」で卵を追加し、670円を払った。