「やっ、どうも。あたしゃ、消費奇怪人パーセントファイブでやんす。パーちゃんとでもよんで欲しいですな。明日からは先輩のパーセントスリーに代わってお世話になりやす」
妙に腰の低い奇怪人が現れた。上目遣いが気持ち悪い。明日、といったらあと15分だ。
「きさま! 3%据え置きという約束はどうしたんだ? 行政改革はしたのか?」
「いやぁ、これは巡り合わせってやつでして、このままでは日本の将来が危ないんでげすよ」
何やら、いい加減なことを言っている。すぐにクイッカマンに変身だ。
「ゆるせん。チェーンジ、クイッカマン。セットアップ!」
パーセントファイブはびくっとした。しっぽをくるりと股の間にはさんで、犬で言えば無抵抗のポーズだ。なんだ? こいつは。
「何するんでやんすか? 無抵抗の相手に」
パーセントファイブは目をうるうるさせて、上目遣いでおれを見る。くそぅ、こんなやつを懲らしめても胸くそ悪いだけだ。
「どこへでも行ってしまえ、二度とおれの前に現れるな!」
ピッ!
どこからともなく、午前0時のアラームが聞こえた。
「ふふふふふふふふふ。ふぁーっはっはっはっは。この時を待っていたのだ。おまえら、ばかじゃん? 消費税なんてな、導入されたときにこうなることは決まっていたんだぜ」
ぷぅっ〜。
あろう事かパーセントファイブは屁をこきやがった。さっきとは打って変わった横柄な態度だ。む、むかむか!
「なんと言おうと5%はもらうから覚悟するんだな。2兆4千億円はいただきだぜ。ふふふふふふふふふふ」
どうしたらいいのだ。かけ込みで車を買ったり、3/31に行列して定期券を買うぐらいのささやかな抵抗しかできないというのか。
「目指せ、税率10%! じゃぁな」
パーセントファイブは姿を消し、おれはその場に立ち尽くした。パーセントファイブ、お前も"邪悪"か? いったい邪悪とは何なのだ。教えてくれ!
「ちなみに今年度から特別減税もないぜ」
パーセントファイブの声が闇にこだまし、消えることはなかった。
|