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グーグル、サードパーティ・クッキー廃止方針を見直し、複雑な背景…利益と不利益

ビジネスジャーナルの取材を受けた記事が公開されました。
グーグル、サードパーティ・クッキー廃止方針を見直し、複雑な背景…利益と不利益

以下、原文です。

ChromeにおけるサードパーティCookie廃止を撤回した理由

サードパーティCookieの代替技術として開発されていた「Privacy Sandbox」が、現時点ではサードパーティCookieを完全に置き換えるには不十分であることが、撤回の主な理由と考えられます。

Chromeを開発するGoogle自身が、売上の8割以上を広告事業から得ている企業であるため、単にユーザーのプライバシーを保護するだけでなく、広告業界からも支持される技術である必要があります。

さらに、Privacy Sandboxが普及した場合、広告技術の主導権をGoogleが握ることへの懸念も業界から指摘されています。

今後のインターネットサービスへの影響

サードパーティCookieに依存する広告企業は、現状のシステムを当面維持できるため、広告配信の精度を保つことが可能になります。これにより、広告効果の低下によるクライアントの離脱リスクを回避できたと考えられます。

広告収入をもとにサービスを提供する事業者も、従来通りの収益を期待できるため、無料または低価格でのサービス提供が維持される可能性があります。

一方で、ユーザーのプライバシーが引き続き侵害されるリスクは残るため、広告ブロッカーやVPNといった対抗手段を取るユーザーが増えることが想定されます。

サードパーティCookieを使い続けることには短期的なメリットがありますが、中長期的には業界の健全な進化やユーザーの信頼回復を妨げる可能性があります。廃止を見送る一方で、Googleが「Privacy Sandbox」の開発を継続しているのは、プライバシー保護と広告の両立を模索している表れとも言えるでしょう。

ユーザーにとってのメリットとデメリット

サードパーティCookieの継続は、サービス提供者にとって広告収入の維持というメリットがありますが、ユーザーにも一定の恩恵があります。それは、広告によってサービスが無料または低価格で提供され続ける可能性がある点です。

また、無関係な広告よりも、自分の趣味や関心に合った広告の方が受け入れやすいと感じるユーザーも少なくありません。

しかし最大のデメリットは、プライバシー侵害のリスクが今後も続くことです。個人情報の漏洩リスクに加え、ユーザーの興味に偏った情報ばかりが表示されることにより、多様な視点に触れる機会が減少し、思考が偏る懸念もあります。

さらに、広告ブロッカーの利用によってページ表示が崩れたり、一部サービスが正しく利用できなくなったりする可能性もあり、こうしたユーザー体験の悪化も無視できません。

サードパーティCookie廃止と「Privacy Sandbox」の開発は、ユーザーのプライバシー意識の高まり、法規制、そして技術・企業戦略の変化が重なった結果生まれた流れです。この動きは今後も継続していくと考えられます。

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