2017年9月20日に公開された「iOS 11」は、iPhoneおよびiPadユーザーにとって使い勝手を向上させるOSのメジャーバージョンアップだ。

とりわけiPadに用意された新機能は豊富で「iPadがこれまで以上にパソコンを置き換える存在になるかもしれない」と発表時から噂されていた。iPadでiOS 11を実際に使い込んで、パソコンを置き換える存在になったのか、感じたことを素直にお伝えしよう。

iOS 11の登場を待ち望んでいた

筆者は今年の6月に登場後、すぐに入手したiPad Proの10.5インチモデルを使っている。それまでは携帯しやすいコンパクトなサイズこそが最良と、歴代iPad miniシリーズを愛用していたのだが、10.5インチiPad Proの入手がきっかけとなり考え方が変わった。

iPad miniではメールのやり取りやWebページの閲覧、読書といった、いわゆる「コンテンツの消費」と呼ばれる用途に使うことが多かった。タブレット端末ならそのぐらいで十分かなと思っていた面もある。

ところが、iPad Proは大きな画面サイズで、単純に使い勝手が良くなっただけではなかった。美しくて明るいディスプレーと処理パワーは、画像の加工もストレスなくこなせた。Apple Pencilでの入力は、手書きによるメモやノートもスムーズにしてくれた。

これまでは「iPadでできないことはMacでやる」というように用途を住み分けしていたが、iPadが使える用途や分野が広がった。

iPad mini 4から10.5インチiPad Proに乗り換えて、iPadの使い方が激変した

だが「iPadでもっと仕事ができるのではないか」という欲を持って試すと不満に感じる点も出てくる。とりわけアプリ間の連携に難があると思うようになってきた。パソコンなら、欲しい機能を持つアプリを連携させれば簡単にできることが、iPadではスムーズにできない。

そこでいつも頭に浮かぶのはiOS 11のことだった。「iOS 11がリリースされたらもっと使いやすくなるのでは?」と。

アップルは今年6月の開発者向け発表会で秋にリリースされるiOS 11の新機能も披露しており、内容はマルチタスクやドラッグ&ドロップ機能など、パソコンに近い使い心地を実現できるのではないかと思わせるものだったからだ。2 in 1のWindowsノートパソコンも意識しているようで、外付けキーボードを使った操作性の向上も期待できた。

今年6月の開発者向け発表会で、iPad向けのiOS 11には、これまでの使い勝手を大きく変えるパソコン的な新機能が盛り込まれることが披露された

使ってわかった改良点とは?

iOS 11はパブリックベータ版が安定してきたとの噂を聞き、1カ月ほど前からiPad Proにインストールして、普段の用途で毎日試してきた。

OSをバージョンアップしてすぐに気が付いたのはDockの変化だった。iOS 10まではホーム画面に戻らないと表示できなかったDockを、iOS 11からはアプリ起動中でも呼び出せるようになった。登録できるアプリも最大13個、加えて最近使ったアプリが3個まで表示される。iOS 11ではDockを利用してアプリ同士をダイレクトに移動できるわけだ。

これまでは、アプリを切り替えるためにホーム画面に戻ると、そこで作業が途切れてしまった。Dockから起動できるアプリが増えたということは、流れを中断せずに使えるアプリが増えることにつながる。

以前からあった、画面を分割して2つのアプリを同時に使用する「Slide Over」や「Split View」と呼ばれる機能も、ドラッグ&ドロップ操作が使えるようになったことで、今までよりも使いやすくなった。操作もシンプルだ。アプリ間のより密接な連携を期待できる。

パソコンのようにファイルを扱えて、他社クラウドサービスにあるファイルも一括管理できる「ファイル」アプリも、待望していた機能のひとつだった。

iPadはファイルを意識せずに使え、初心者にも優しい作りになっている。これまではあえてそうしてきたと思われる。しかしパソコンとのデータのやり取り、連携作業を行う場合、ファイルを扱えないとかえって不便に感じる場合が多い。パソコンにおけるアプリ連携は、ファイルを介して行うのが基本だからだ。

iOS 11では、筆者が不満に思っていた「アプリ間連携」の問題を解決するための施策が随所に施されていた。

「ファイル」アプリはiPadでファイルを管理するアプリ。iCloudと併せて使うとより便利だ
画面サイズの大きなiPadなら、画面を2つに分割しアプリを同時に使うと生産性が上がる

iOS 11の問題点とは?

先述のように、筆者は、iPadのiOS 11に組み込まれた新Dockや、ドラッグ&ドロップ操作でマルチタスクがシンプルに使える点、ファイルアプリといった新機能に可能性を感じた。

このうち、筆者だけでなく誰もがすぐに便利だと受け入れる機能は新Dockだろう。登録できるアプリの個数が最大6個から13個になり、いつでも呼び出せる点で単純に機能アップだ。直近で起動したアプリが、最大3つまでDock上に表示される機能も気が利いている。

一方、評価が難しいのはそれ以外の機能だ。現時点では対応アプリが少ないのがネックとなっている。標準アプリのほとんどは対応しているが、サードパーティー製アプリの多くはまだ対応していない。時間が解決してくれる可能性があるものの、すぐに新機能の恩恵を受けられないのが残念だ。

例えば、せっかくのファイルアプリも、ドラッグ&ドロップでファイルを受け取れるサードパーティー製アプリがなければ生きてこない。

また、ドラッグ&ドロップ操作自体をスムーズに使えるようになるには、ユーザー自身にも慣れが必要だ。よく考えて設計されたジェスチャーであることは分かるものの、両手の指を使うドラッグ&ドロップ操作は、筆者もいまだ直感的にはできない。タイミングによっては利き手ではないほうの指でドラッグやタップをする状況もある。新しい操作方法を身につけるには、意外に時間がかかるのかもしれない。

とはいえ、パソコンでは、タッチタイピングやショートカットキーの操作に利き手以外も使っている。やってできないわけでもないだろうと楽観視はしている。ただ、対応アプリの環境が整った上で、ユーザーにも使う意義が見出せなければ、なかなか定着しにくいのではないだろうか。

筆者の場合、ここまで挙げた機能のうち、現時点では新Dock以外の機能を積極的に使う意義を残念ながら見出せていない。ドラッグ&ドロップ操作の習熟も必要だろうが、とにかくアプリ側の対応を切に望む。iPadでiOS 11の使い勝手が向上するか否かは、対応アプリの登場にかかっているのだ。

ドラッグ&ドロップ操作はメニューを使わずに指でダイレクトにできる操作だが、直感的に使えるようになるには時間がかかりそう

関連記事

Apple Siliconは4回目、Macの歴史にあった「3回の大変革」とは何か

iPad ProとMagic Keyboardは最強の組み合わせか?「目からウロコ」の開き方も伝授

「MacBook Air」と「iPad Pro」の2020年モデル、テレワークに向くのはどっち?

iPhoneとiPadが障害者支援に威力、青森県の「りんご」使い方講座がユニークだ

東日本大震災の教訓生かせ、あの「りんご」は青森県の情報弱者を救えるか

MacのOSを旧バージョンに戻したいけどバックアップが無い、その時どうする?

コメント

コメントを返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です