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| 00/10/02-am |
| ●海の底で話しても聞こえないよ |
| ホテル内のダイバーズショップ“マリン”のフロントに8:50に集合。今日の午前中は体験ダイビングなのである。ホテルにチェックインしたときにこっちのフロントで、身長や体重、足のサイズ、視力などを記入してあったので、それに合わせたウェットスーツ、ブーツ、フィン、マスク(度入り)+シュノーケルが用意されていた。一応着てみてサイズを確認する。 ホントはCカード(安全なダイビングができる人だよって印)を取得しようと思っていたのだが、そのためのカリキュラムには5泊必要になる。他のホテルに泊まっていても、バスで送り迎えしてくれるから、石垣の滞在日数的にはたりたんだけど、それだけで終わってしまうのももったいない気がしたので、空港の事故があった日に体験ダイビングに切り替えた。ちょっと様子を見たいっていうのもあった。 インストラクターはクロベユミさん、23歳、ADS・ダイブマスター。あ、聞いたのは名前だけ。年齢とか資格はシーマンズクラブのホームページに載ってる。 おれ「ホテルのホームページに、スタッフの人の自己紹介出てますよね」 ユミ先生「らしいですね。わたしパソコン全然使えないんですよ」 風俗関係の店でも似たような会話になってしまったことをデジャ・ヴしつつ、おれも自己紹介をして和む。この時間の体験ダイビングは、おれを入れて3名。時間差で先に6人行っているらしい。 まずは、ショップの外にあるテーブルで、マスクとフィンの付け方、シュノーケルの使い方を習う。フィンには裏と表があり、逆に装着してはいけない。蹴ったときに後ろ向きに進むからだ。もちろん冗談なのだが、その話を聞いたとき、おれは「へー!」と思いっきりリアクションしてしまって恥ずかしかった。マスクの装着は簡単だけど重要。10m以上潜ることになるので、マスクにちょっとでも髪の毛が挟まっているだけで、そこから水がざばざば入ってくる。あと、マスクの曇り止めの方法。これがちょっと嫌な感じ。唾液をたっぷり口にためて、マスクの内側にペッと出し、指でごしごししたあと海水で流すのだ。いちおう曇り止めっていう商品もある。マスク関連では、水中でマスクの中に水が入ったときの対処も習った。マスククリアというのだが、マスクを眉間のあたりに指で押し付け、少し上を向いた状態で鼻から息を強く出す。空気がマスクの下から抜けると同時に水が抜けるのだ。シュノーケルは、潜ってしまったら関係ないが、クリアの方法を教えてもらった。子供のころからシュノーケルを使っていたので、これは知っていた。シュノーケルに強く息を吹き込むだけでいい。最近のシュノーケルって、下からも水が抜けるようになってて、楽。 1日ダイビングに行く人たちが、トラックに機材を積んで出かけていった。中に初老の夫婦がいた。はじめ二人を見たときは、こんな人たちも体験ダイビングするのかと思っていたのだが、バリバリのCカード保有者だったのだ。 さて、講習の続き。耳抜き。これも子供のころは中耳炎小僧だったので得意だ。いや中耳炎になると耳抜きがうまくできないのだが、耳鼻科の治療で耳抜きのようなことをよくやらされていたのである。ちなみに子供のころのおれは、毎年夏に海やプールで潜るようになると、必ずといっていいほど中耳炎になっていた。そのくせ、水に潜るのが好きだったのだから致命的。実はここではじめて覚えたことがある。それは、耳抜きが片側だけうまくいかないときは、その耳を上にして再び耳抜きをすればいいということだ。 最後に水中で使うサインをいくつか教えてもらった。“大丈夫ですか?”は親指と人差し指で輪を作ったOKサインを出す。大丈夫なら同じくOKサインを出せばいい。ダメなときは、手を開いて前に出し振る。“冗談じゃないよ”って感じ。両手でやるのが本当らしい。“トラブル発生”も同じ。OKサインを、サムズアップにしてしまうと、それは浮上のサインになるのでダメ。下向きに親指を出すと、潜行のサインになる。あと、“そこで止まっていなさい”は手を前に出して制止するような感じ。“ここにつかまりなさい”は、何かをわしづかみにするような手の形をして、つかまるところを指し示す。これらはおれたちから出すことはないだろう。と、このぐらい。 とにかくオーバーアクションでやること、と念を押されたので「望むところです」と答えておいた。 ここまで確認したところで、ユミ先生の運転するハイエースで、近くの海岸にある船着場に向かった。そこで、さっき教えてもらったマスクの曇り止め、マスククリア、シュノーケルクリアを練習してから、フィンに慣れるためにそのあたりで、シュノーケリングをした。これだけでも十分楽しい。岩場で魚を追いかけているところに、そろそろ行きますの声がかかった。沖に体験ダイビングのスポットが用意してあり、船が停泊している。これからそこにボートで向かうのだ。もちろんユミ先生の操縦。なんかかっこいい。 船に到着したら、先発隊の体験ダイバー6人とインストラクター3人がいた。インストラクター1人が2人を担当するとことになっているのだという。早速、腰にウェイトベルトというおもりを着けられた。次にタンクを背負うのだが、もちろん自分で背負えるほど慣れてるわけじゃないので、背負わせてもらう。タンクにはBCというジャケットが取り付けてあって、それと一緒に背負うようになっている。BCというのはタンクからエアを送り込むことができるようになっていて、ウェイトベルトと合わせて浮力を調節する。ホントいうと、この浮力調整も自分でやるのだが、体験ダイビングなのでインストラクターがやってくれちゃってた。ここでレギュレーターの説明と、口にくわえていたレギュレーターが水中で外れてしまったときの対処を教えてもらった。右肩を大きく動かして腕を後ろに回すと、レギュレーターのホースが見つかるので、それをたぐってレギュレーターを手にする。だけど、そのまま吸うとレギュレーター内部に入った海水が一気に口の中に入ってきてしまう。レギュレーター内部の水を抜くことをレギュレータークリアという。シュノーケルクリアのように、口から息を吐く方法もあるらしいが、息が残ってないとどうしようもないので、パージボタンを押して水を抜く方法を教えてもらった。水中でゲロってしまったときも同じようにして汚物を出すのだそうだ。 あとから来たおれたち3人のうち、おれ以外の2人は友だち同士ということで、船にいたインストラクターがひとりつくことになった。おれはユミ先生とマンツー。やりぃ。 3点を付け、レギュレーターをくわえて船の後ろからゆっくりエントリーする。水に浮かび顔を水につけて、レギュレーターに慣れるまで何度も呼吸した。慣れるまでは苦しいのだ。しかも数回息をしたぐらいでは慣れない。下手すると、ここでパニックになってしまう人もいるかもしれないと思う。2分ぐらいやっていただろうか。それでも多少違和感はあったが、こんなもんかなと思ってOKサインを出した。 船の後ろから水の中にロープが斜めに張ってあり、ロープの反対側は水中の岩につながっている。このロープをに掴まりながら、少しずつ潜っていくようになっていた。その間、3回ぐらい耳抜きをした。エアは自然に肺の中に入ってくる。あまり息することを意識しないほうがいいみたいだ。しかし明らかにユミ先生のほうが呼吸の回数が少ない。 ロープの先まで到着したら、岩を伝って右に回った。だいたい水深5メートルということだ。ユミ先生は、なんとかスレートという水の中でも書けるボードを持ってきているので、見つけた魚のことをいろいろ説明してくれた。シャコ貝の中に死んだ珊瑚のかけらをわざと入れて、吐き出させてみたり、おれはそのたびに歓声を上げているのだが、ゴボゴボいうだけで何も聞こえない。ボードに書くときも、書きながらゴボゴボしゃべってしまう。すごい体験をしているから無口ではいられない。 ![]() ![]() ![]() 途中まで岩を右に進んだが、今度は少し岩を離れて左に回りながら、さらに深いところに潜った。岩の下まででだいたい10メートルぐらい。岩のくぼみを覗くと、クモのように細くて長い足の透き通ったエビがいた。このあたりにいるナマコは、砂浜にいるものと種類は同じらしいが、赤っぽい。岩を背中にして下を見ると、このあたりがリーフの切れ目で、さらに深くまで落ち込んでいることがわかった。未知の世界という感じだ。 ほかの二人はとっくに浮上しているのだが、もう少し遊んでもいいとボードに書いてくれたので、そのあたりをしばらくふわふわ浮いて魚を見ていた。魚は全然逃げようとしない。慣れているのか、関心がないのか。 だいたい20分ぐらい潜っていた。水中での動きにやっと慣れてきて、楽しめるようになってきたところで時間が来た。ロープを伝って船に戻った。短い時間だったけど、素晴らしい体験をすることができた。もっと違うところにも潜ってみたくなった。 レギュレーターを外すと、口の中がからからに渇いていた。3点、タンク、ウェイトベルトを外し、船に用意されていた冷たいお茶を飲んだ。体験ダイバーたちは、みんな少なからず感動しているわけで、一緒に潜ったというだけで仲良くなれてしまう。誰かに気持ちを伝えたくてしょうがないのはおれも同じ。インストラクターはここぞとばかり、ダイビングの楽しさを語った。 そうこうしているうちに先発隊は先に戻り、おれたちは船の周りでシュノーケリングしてしばらく遊んでから岸に戻った。帰りのボートには、ユミ先生以外にもうひとりインストラクターが乗った。彼女は水中撮影をするそうで、かなり凝った機材を持っているとのことだった。おれがデジカメ用に買ったエンクロージャーは1万5千円ぐらいして、それでも高いと思ったのだが、一眼レフカメラ用のちゃんとしたものを買うと、10〜20万円はするそうだ。カメラも入れたら、ダイビングのセット一式が買えてしまうだろう。 ショップの前まで戻り、ウエットスーツ、3点を真水につけて解散となった。うー、もっとやりたい! |
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