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00/07/12
devorce from my wife----------超常美少女クイックちゃん登場
「クイッカマン、何しょんぼりしてるの?」
「あ、クイックちゃん」
 気分転換に、ひとりで船橋のららぽーとに来ていたのだ。前にみわちゃんと一緒に来たときは、ららぽーと3がオープンしたばかりで混雑してたなぁ、なんてことを思いながら、平日の午前中で客の少ないモールを歩いていた。
「うん、実はみわちゃんと離婚することになったんだ」
「え?! あんなに仲良かったのに」
 クイックちゃんの丸い目が、一瞬もっと丸くなった。
「おれのこと、好きじゃなくなったんだって。うん、土日も昼も夜もなく本を書いてたおれも悪いんだ」
 それ以上のことはあまり言いたくなかった。他人には言えないことや、言いたくないこと、言ってもわかってもらえないことがいっぱいある。1000組の離婚があったら1000通りの理由があるよ、きっと。単純じゃない。かっこつけんなって感じだけど、Web上ぐらいはかっこつけさせてよ。
「そんなにしょんぼりしないで、わたしがいるじゃない」
 クイックちゃんは両手を腰に当て、胸を突き出すようなポーズを作って言った。
「だって、クイックちゃんは架空の人物でしょ」
 自分で作ったWeb上のマスコットキャラに励まされるなんてわれながら情けない。だが、クイックちゃんも反論してきた。
「そんなこと言ったらクイッカマンだって架空の人物でしょうが」
「だって、クイッカマンは架空でも、いとうあきは実在するの。おれは実在の人物と恋愛したいの」
 ちょっと喧嘩腰になりかけたが、口を尖らせているクイックちゃんがかわいかったので、最後は笑ってしまった。クイックちゃんもつられて笑い出し、思い出したように肩からかけていたビニールバッグの中から何かを取り出した。
clystal「じゃぁね、これ、あげる」
 透き通った石の付いたチョーカーと、紫色のビーズ、シルバーの指輪だった。
「この石は水晶、クリスタルね。潜在能力を引き出す力があるんだって。クイッカマンには、わけのわからない潜在能力があるはずだからこれで引き出してね。自分の力を信じなきゃ。そして、このビーズはアメジストなの。恋愛に効くんだってよ〜。あと、このぐるぐるうずまきのリングは、なんだかわかんないけど、なんかに効く!」
 ううう、なんか勇気が出てきた。そうだ、なんだかわかんないけど、自分の力を信じてがんばろう。
「クイックちゃん、ありがとう」
 と、クイックちゃんの手を無理矢理つかんで握手をしようとしたときに、またも思い出したようにキョロキョロし始めた。
「そうそう、わたし新しいクイッカスーツを作ろうと思って材料を買いに来たんだった。Kou'sってどこだって?」
「Kou's? ああ、ここ抜けてまっすぐ行って突き当たったとこだよ。Kou's行くとついなんか買っちゃうんだよなって、おい」
 既にクイックちゃんはKou'sのほうに向かって駆けだしていた。
「厚底サンダルで走っちゃ危ないよ〜!」
 と叫んだ言葉に、おれもオヤジっぽいなぁと思った。
 あたりは夏休み前で午前授業になった高校生たちや、大学生のカップルが歩き始めていた。昼近く。

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