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00/07/22
稲毛海岸精神科光子力科学要塞研究所クリニック------天才医師モリモト博士登場
 朝、目が覚めても、昨日のことが夢だったってことはなく、そばには段ボール箱がいくつも積んであった。
 彼女は、いつものように「ぶらり途中下車の旅」を見てから、いつものように絵のスクールに出かけた。おれは、この一ヶ月間クイッカマンのメンタル面をサポートしてくれていた稲毛海岸精神科光子力科学要塞研究所クリニックのモリモト博士を訪ねた。
「やぁ、クイッカマンくん、予定では月曜日に来るはずじゃなかったかな?」
「先日お話ししたよりも引っ越しが早まったので、今日しか来れる日がなかったんです」
 モリモト博士はいつもの優しい声と口調で、おれの心と体の健康を気遣ってくれ、最後にこう言った。
「キミと会うのもこれが最後になるね。横浜でもがんばりなさい」
(注)本物の森本先生はこんなハカセ口調ではない。
 おれは涙が出てきた。昨日はなんてことなかったのに。
「つらくてどうしようもない時期を乗り越えられたのは博士のおかげです。とても感謝しています。ありがとうございました」
 こんな言葉では言い尽くせない。心が押しつぶされそうになったときでも、研究所の待合室にいるだけで穏やかな気分になり、明日は博士に会える日だと思っただけで安心してその日を過ごすことができたのだ。
「キミが自分からここに来たんじゃないか。それはすごいことなんだよ。もっと自分を信じていいんだ」
 涙が止まらなかった。おれは深々と頭を下げ博士の部屋を出た。待合室のソファーに座っても涙が流れた。
 落ち着ける待合室を目に焼き付けるように見渡し、モリモト博士に出会えた幸運を(誰にというわけでもなく、強いて言うならタウンページに)感謝した。

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