Quickca Fight Jun 15, 1997
女子高生の頭のバカッ花-->NEO SEA HORSEインファント島支部 笑美人登場

日は会社で仕事だ。東京駅で山手線に乗ろうとしたとき。

「チェーンジ、クイッカマン。セットアップ!」
 もう、我慢がならない。
「おい! そこの女子高生」
 目の前を歩いている2人の女子高生は、頭にでっかい花をつけている。
「その、頭の花はやめろ」
 数週間前、カバンに大きな造花をつけている女子高生を見かけた。あのときはカバンのアクセサリーだと思ってやり過ごしたおれが甘かった。
「えー、だって、かわいーじゃーん」「えー、だって、かわいーじゃーん」
 2人はユニゾンで言った。かわいい? お前が? 変な細眉、変な日焼け、変な化粧。そのとき、ふと、おれはヤツらにかすかな磯の香りを感じた。
「おまえら、女子高生じゃないな?」
「なんの証拠があんだよ!」「なんの証拠があんだよ!」
 今度はハモった。特撮映画マニアのおれはあざむけ無いぞ。浅草東宝のオールナイトには通ったおれだ。
「おまえたちはモスラに出てきたインファント島の島民だろ! 最近の女子高生が、おまえらに似ているのを良いことに、日本に来て、バカな中年おやじから金を巻き上げるつもりだな!」
「ふふふふふ、よく見破った、クイッカマン。わたしたちはNEO-SEA-HORSEインファント島支部の笑美人だ。だが、そんなちゃちな作戦ではない。全国の女子高生の頭にある花飾りからは私たちの合図で一斉に無個性ガスが発生するようになっているのだ」
 無個性ガス?
「教えてやろう、クイッカマン。これはわがNEO-SEA-HORSEが開発した遅効性の毒ガスで、少しでもこれを吸うと他人と同じ格好をしていないと気がすまなくなる。そしてどんどん個性が無くなり自分で何も考えられなくなってしまうのだ」
 そ、そんな、恐ろしいことを。かわいくない子まで、制服をミニスカートにしてルーズソックスを履き、眉を細くして、変な化粧をして、茶髪になる……、なーんだ、今と同じじゃん。
「やれば? その作戦。別にいいよ。じゃ!」
 おれは、笑美人に背を向けその場所をはなれようとした。
「ま、待て。ちゃんと闘え」「ま、待て。ちゃんと闘え」
「そぉ? じゃぁ、お言葉に甘えて」
 おれは振り向きざまQuickCamのレンズ部からクイッカCCDフラッシュを放った。これはQuickCamの集光回路を反転させることにより体内のクイッカエネルギーを放出しするクイッカマンの必殺技だ。
「ぐぉぉぉぉ、ひ、卑怯もの、正義のヒーローが技の名前も叫ばないで…」
「ぐぉぉぉぉ、ひ、卑怯もの、正義のヒーローが技の名前も叫ばないで…」
 ちゅどーん。笑美人は爆発した。
「同じ格好をすればするほど、素材の違いが良さを決めるんだぞ」
 おれは2つの爆煙を見ながらつぶやいた。